お仕事紹介船員業務神原タグマリンサービス株式会社の船員業務についてご紹介します。

いろいろな作業で活躍するタグボート
タグボートは小さな船ですが、とても力持ちな船です。4,000馬力を超える強力なエンジンを持ち、
何万トンもある巨大なコンテナ船等を動かすことができます。さらに360°回転する特殊な推進器を2器装備し、
自由自在に旋回することができるので巨大な船の離接岸作業を安全に支援することができます。
また、タグボートは港での出入港支援だけでなく、いろいろな作業で活躍しています。
例えば、建造中の船の船体ブロック等、貨物船では運べない大きな構造物を積んだ台船を目的地まで曳航したり、
エンジントラブルで動けない船を曳航したり、座礁した船の救助も行います。
このように多方面で活躍するタグボートは海の作業で欠かすことのできない“小さな巨人”なのです。





飯田直輝 機関士
2017年入社
曳航業務では北は北海道から南は沖縄まで日本全国を周ります。
そして貨物船のように定期航路ではなく、不定期航路なので毎回違った場所に行って、
その地の名所観光や名産物を楽しむことができます。
変則的な業務日程ではありますが、仕事終わりに仲間と地の食事とお酒を飲み、
リフレッシュして次の目的地に向かいます。
また、海上の橋や道路の建設など、後世に残る大きな仕事に携わるチャンスもあります。
自分の運んだ資機材が、この橋を造ったんだ! とちょっとした自慢話になったりして、
そうした部分も曳航業務の魅力の一つだと思います。

徳島南部自動車道架橋工事(2020年)

現地での食事会

“海上の力持ち”タグボートと“海の匠”乗組員
3,000~4,000馬力のパワーで何百倍もの大きさの船をけん引するタグボート。
神原タグマリンサービスでは7隻を所有しています。そんな“海上の力持ち”を操るのは、
海の上で働く乗組員。安全を最優先に、常石・福山だけでなく、日本中の海で活躍しています。
曳航業務 海上クレーンを動かすタグボート
自力で航行できない大型構造物の海上輸送を担う曳航(えいこう)業務。
グループ会社の常石造船の
新造船工程では、大型ブロックを運搬する海上クレーンの移動をサポートしています。
業務の流れ
- 1常石工場まで曳航、係留
- 海上クレーンを安定した姿勢に保ちながら低速航行し、早めに他船を避けるなどして安全を確保。
常石工場到着後は、係留場所までエスコートする。 - 2ブロック吊り上げ時の
姿勢保持 - 約1,000トンの大型ブロックを吊り上げる際に、
その重さや風でクレーンが傾かないよう、後ろから引っ張るなどして姿勢保持をサポート。 - 3搭載場所まで移動
- 大きなブロックを吊った状態の海上クレーンを、
ゆっくりと船台やドックまで移動させる。
海上クレーンが定位置に着きアンカーを打つまで、 海上クレーンを押したり引いたりして姿勢保持。 - 4搭載業務の完了後、
次の仕事地へ曳航 - 約4時間の本船への搭載作業を見守る。
搭載完了後は、停泊地や次の仕事地まで曳航する。
ハーバータグ業務 進水式を支えるタグボート
大小の船舶を安全かつ円滑に岸壁に離接岸させるのがハーバータグの役割。
常石造船常石工場ではその一つに、新造船の「進水式」のサポート業務があります。
業務の流れ
- 1タグボートのエンジンスタート
- 2作業員を進水する本船へ
- 岸壁からドックマスター(進水する本船の監督者)と進水作業員を送り届ける。
- 3配置へ移動し、待機
- 船台後方の海上で、
3隻のタグボートがスタンバイ。 - 3いざ進水!
- ドックマスターの号令で、 本船の左右側面へ移動し、押し方開始!! 眼の前に進水船船体の大きな壁が迫る、 緊張の瞬間。
- 5タグラインを取る
- 無事に進水を確認したら、タグライン (タグボートと本船をつなぐロープ)を取り、 本船を曳く準備が完了。
- 6曳航して、岸壁へ
- 陸上で本船を支えていた腹盤木(はらばんぎ)など
を取り除いた後、桟橋へ接岸するため、本船を曳航。風や潮の具合に応じて微調整を繰り返す。 - 7撤収
- 接岸後、再び進水作業員を乗せて
出発地の岸壁に戻り、作業を完了。
困難な状況下でも操船は楽しい。その魅力を若手に伝えたい
三嶋新助船長
この道30年のベテランである三嶋船長でも「進水式のサポートは、緊張する」。降りてくる速度、風、潮、そうした条件が毎回異なるうえ、2ヵ月に一度しかない作業だからだ。「ここは水深が浅いうえ、進水の進路上にマリーナの建物(駐機場)もあり、困難な条件が重なっている場所。船台がもう少し海側に向いていれば安心なんですが」。そう笑う三嶋船長は、2017年に就航したタグボート“うつみ”の新建造の際に長年の経験に基づいた提案も行っている。「操舵室背面の窓を従来より大きくしてもらった。後ろがよく見えるようになり、操船の安全性向上につながっています」。船員のなり手が少ない現状について、「大変なこともあるけれど、私が30年も続けられたのは、操船するのが楽しいから。若い人にもこの感覚を知ってもらえると嬉しいですね」と、船乗りの魅力を若い世代にも伝えたいと考えている。
海の匠たちからのメッセージ
船内の紹介
仕事を離れた際にリラックスできる個室は1人1部屋でプライベートが
確保されています。
サロンは家で言えば家族全員が集まるリビングルームのような空間です。
食事や作業の打合せをしたり、船員のコミュニケーションの確保に
欠かせない場所です。
サロン

個室

調理室



海の状態や気象状況などを乗り越えることで経験値を高める
津田次郎船長
乗組員の中では数少ない中堅世代である津田船長は、学生時代に「船乗りになりたい」という夢を抱き、この仕事を志望した。曳航する海上クレーンや大型構造物は、大きさや形状が毎回異なるため、それぞれに適した曳航方法を身に付けることが大事と話す。「いい仕事をするには、事前準備や下調べが不可欠。海は天候や波が多様で二度と同じ状態はなく、さまざまな条件での仕事をやり遂げることで自分たちの経験値が高まっていきます。特に神原タグマリンサービスでは作業が多岐にわたっているので、“この会社で仕事ができれば一人前”といえるでしょう」。船長歴8年目を迎え、後輩の指導も重視。「海上職は安全第一。まずは自分の身を守り、同時に仲間の身も守るという、海の男の鉄則を伝えたい。自身の経験を後輩により多く伝えるために、今の自分の仕事があると考えています」。